book
縄文時代の人々は何を食べ、そのためにどんな道具を使い、コミュニケーションはどうしていたのか。人類学・動物学・植物学などの専門家たちがマクロからミクロな視点まで、考古学に関わる専門家たちが縄文時代の扉を開く。 『縄文のくらしを掘る』『考古学の…
新札幌に新設されたばかりの北日本科学大学で爆破事件が発生。博士号を持つノンキャリ警察官、沢村依理子は異動したばかりの警務部から、警務部付捜査一課となる。この人事は報復か期待か。監察官室の監視を感じながら、テロ事件をめぐって公安との駆け引き…
満州で育ち終戦を迎え、日本に引き揚げてきた子どもたち。終戦から50年が経ち、漫画家として活躍する9人が当時をふり返る。 ちばてつやの引き揚げ体験漫画を読んで、本書にたどり着いた。子どものころ、両親の枕元に置いてあったマンガ雑誌で読んだ面々、古…
「クサいメシ」と呼ばれる刑務所の給食。それを作るのは受刑者自身。料理の知識も経験もない受刑者と、それを見守る刑務官も素人同然。日本一小さな男子刑務所で、刑務所栄養士として働くことになった著者が、限られた条件で作れる「美味い飯」とは。 花輪和…
いつも立ち寄るコンビニで。喫茶店で隣のテーブルから聞こえた会話が。ふと手にしたフリーペーパーに書かれていた言葉に……。気づいてしまうと、今までの日常には戻れないのかもしれない。現代実話怪談の作家たちによる49話。 怪談四十九夜のシリーズ5作目。…
「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」。2020年、中2の夏休み。コロナ禍のなか、閉店を迎える西武大津店に毎日通い、中継に映ると成瀬は宣言した。M-1への挑戦や部活、受験も、一風変わった友人成瀬は全力でひた走る。 本屋大賞受賞なので読んでみ…
日本全国で進む地方の過疎化に重ね、感染症が大流行し「祭り」が滞ってきた。これまで鎮められてきた神々が怒り、暴れだす。対応するのは「祭祀保安協会」の九重十一とアシスタントの八多岬。 怪談作家である著者による、東北を舞台にした怪異連作ミステリー…
筑波大学を卒業後、就職もままならなかった著者は、大阪西成区・あいりん地区で生活しようと決めた。手配師から解体仕事を紹介され怒鳴られる。宿には生活保護者が長期滞在し、掃除をすれば注射器が転がり出てくる。 マンガ化された原作と知り読んでみた。20…
メモリが素数しかない定規、足を使う車椅子、通った道が消えていくナビ。不便だけど、そこに利益が生まれる「不便益」。便利が求められる中、どうして「不便益」は生まれたのかをデザイン工学の観点から紹介する。 著者の連載が面白かったので、岩波ジュニア…
献血で集められた血液は、どのように管理され使われていくのか。中高年層が割合を占める状況が続く中、さらに少子高齢化社会を迎える未来では? 献血、骨髄バンクの必要性、その仕組みを解説する。 献血に行って40数回。その歴史や仕組みを知っておきたかっ…
北海道警察で経験を積む沢村依理子は、少女死体遺棄事件の捜査に参加する。冷え切っていた少女は5年前に行方不明になっていた子だった。当時の容疑者は死亡したのに、彼女はどこで生きていた? 未解決事件の真相を、博士号を持つノンキャリ警察官が追う。 第…
田舎町の閉鎖感を書いた表題作と、貧困アルバイト警備員であるオタク女の生活を半私小説的に書いた「ベイビー、イッツ・お東京さま」を収録。 表題作は私の感性ではまったく理解できなかった。半私小説「ベイビー、イッツ・お東京さま」は、傑作「ババヤガの…
北海道から東京にやってきた大学生、朝倉米子の下宿に売れない小説家(志望)火村彩子先生が転がりこんできた。この世界で生きていくためには、同じ掲載誌を狙うライバル作家を蹴落とすしかない! ファンタジーやキラキラした学園もの、耽美小説など、それぞ…
バターチキンカレーに甘めのナン。オレンジのドレッシングがかかったサラダとラッシーがセットの安価なランチ。各所で見かけるインドカレー店の多くはネパール人によって経営されているが、インネパと呼ばれるほどカレー移民が増えた背景を追う。 近所にネパ…
雁国に新王が即位して20年。延王・尚隆と延麒・六太が誓約を交わしてから、先王の圧政で荒廃した国土は平穏を取り戻しつつあった。しかし道半ばには達していなかった。延王に異を唱える者たちが、延麒を誘拐し謀反を起こそうとしていた。国の安泰と玉座を賭…
京都で在宅医療を取り組む医療従事者たちを取材し、患者の終末期と家族を寄り添うように見てきた著者。友人の看護師が末期がんになり、自身の最後へと向き合うときがきた。著者と難病の母、献身的に介護する父。終末医療の一角を記録する。 2020年本屋大賞ノ…
新しいアルバイト先に来たお客さんが。学校の先生の一言が。旅先で見たテレビ番組に映ったあれは……。気づいてしまうと、今までの日常には戻れないのかもしれない。現代実話怪談の作家たちによる49話。 祖父宅で食卓に出た「赤いゼリー」(真白圭)。工作で作…
少年ジャンプ+で大人気連載中の等身大ラブコメが初の小説化。いつものように元気に投稿した鈴木だったが、谷くんの様子がいつもと違う? 山田に好きな本を貸した西さんは感想が気になって……。少し違う日常を3組の視点で書く連作短編集。 私が知っているラブ…
探検部の先輩、舩戸与一に誘われた取材旅行先はミャンマーだった。監視役の案内人たちから見えてきたのは、ミャンマーの軍事政権は武家社会? 幕府が送り込んだ柳生一族と南蛮人の死闘が始まる……。 近著が話題になっていたのでハイハイとんでも伝奇と思って…
2011年3月11日、東日本大震災を起点に原発事故が発生。10年少しが経った今でも、福島に残った人、福島から出た人へ、著者は取材を重ねていた。あの瞬間が分岐点となった18人の道のりを伝える。 著者の「孤塁 双葉郡消防士たちの3・11」は、震災・原発事故に…
サラリーマンの僕が転生したのは、大好きなアニメ「きみある」の世界。悪役令息・城ヶ崎アクトに転生した僕は、最終回で死ぬヒロインのために全力を尽くす。残された写真から、シナリオに書かれなかった伏線に気づいたアクト。皆んなの力と全ての権限を使っ…
ネットで出会った友人の一室で。ネット掲示板に貼られたQRコードから。インタビューの書き起こしデータ。出典不明の心霊写真。また届いた匿名のメール。「死んだ人のことはちゃんと可哀想にしてあげなきゃ駄目でしょう。」 朝日新聞で新鋭モキュメンタリーと…
サラリーマンの僕が転生したのは、大好きなアニメ「きみある」の世界。悪役令息・城ヶ崎アクトに転生した僕は、最終回で死ぬヒロインのために全力を尽くす。だけど、シナリオはおかしな方向に動いていく。どうして主人公の蓮太郎は彼女と出会わない……? 中田…
サラリーマンの僕が転生したのは、大好きなアニメ「きみある」の世界。しかも誰もが恐れる“悪魔”城ヶ崎アクトになってしまった。最後はヒロインの葉山ハルの病死が決まっているが、もしかして救えるのか!? アニメを知りつくした僕なら変えられるはず! 中…
時は平安後期。権大納言の藤原顕通は2人の子どもに恵まれた。しかし、男勝りで活発な姉は男の子として、内気で気絶癖のある弟は女の子として育ってしまった。15才になった綺羅姫は元服し宮中で仕えることに。帝が気にする女性は、家で泣いている弟の綺羅君!…
アメリカから京都に転向してきた中1の一ノ瀬彩羽は、イケメン高校生の藤原道長さんに助けられた。注目を浴びてしまい、おとなしく過ごそうと思った学園生活は大ピンチ! お世話役の藤原紫さんは面倒見はいいけど、強気でマイペース。クラスの中心人物、清原…
「自由・平等・友愛」を合言葉に,歴史に大きな転換をもたらしたフランス革命とはなんだったのか。しかしそれは社会構造を変える薬であり、多くの死者を出した劇薬でもあった。当時の資料から人びとの苦悩と、革命そのものの意味を考える。 歴史の出来事には…
戴国麒麟として生まれるべき泰麒は、突然の蝕で蓬莱に流され、人の子として育った。10年後、無事に戻った泰麒だったがその役割と命を理解できなかった。しかし「王」の名乗りを挙げたものたちが集まり、麒麟としての葛藤は増す。 王になる名作は数々あれど、…
公募実話怪談大会「怪談マンスリーコンテスト」で注目を浴びた現代怪談の聞き手、鈴木棒のデビュー作。集めた奇妙な体験談37話を収録。 自費電子出版をした「エニグマを集めて」がよかったので、デビュー作から読んでみた。廃墟マンションに残された仏壇で見…
「お捜し申し上げました」。陽子の前に現れた、ケイキと名乗る男は深く跪いた。その先にたどり着いたのは異界の浜辺。故郷へ帰るため、母に会うために陽子は人に騙され、異形の獣に襲われ、旅をして生きる。十二国記シリーズ第1作。 再読するのも20年ぶり。…